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2019年 03月 12日
チニット、チニット
Spotifyで流れてきた曲で"Chinito Chinito"というフレーズが耳に残る曲があり、なんだろう、メキシコ人が中国人をからかっている感じなのかな…?とか思って調べてみたらライ・クーダーの曲だった。
こういうのはあれだ、友人H氏に解説してもらったらきっと面白かろう…とメッセージを送ってみたところ、期待を上回るクオリティで返信が。
せっかくなので、本人の許可を得てここに転載。以下引用。
wwww 曲は知らないけど、結構スレスレだねー。パッと聞くと結構小馬鹿にしているように聞こえる。

「チニート、フラキート」(やせ細った中国人)とか「ピンチェ、チニート」(この██中国人が)ってとこが耳に残るし。

「チニート」は確かに「中国人」なんだけど、中国人というより違いがわからないので「チノ」(中国人)を若干可愛らしく「チニート」とやわらかく表現して「目の細いアジア人全般」を指すことが多いんだよね。そのため、人によっては「ニグロ」と同じくらいの嫌悪感を持つ人もいる。

ただ、おそらくここで言うチニートは、アメリカで働く華僑の中国人、特に富裕層に仕えるメイドとか小さく自営でやっている中国人を指してるっぽい。

アメリカの華僑のステレオタイプが、「冗談が通じない」「真面目」「いつも働いている」「お金にガメツイ」といったもので、映画でもよく見かけると思う。

メイドと言えば中国人かメキシコ人だったり、グリーンホーネットのように運転手が中国人とか、場末の雑貨店は中国人が経営していたり。

これが、同じアメリカのラテン系(特にメキシコ系)の人からは商売敵として揶揄されてた時代があるんだよね。

一見すると、その時代の言い回しを曲にしたように聞こえる。

「チニートは服を洗ってくれるし、ズボンにアイロンがけしてくれる」
「チニートは米食ってる間も週5日2時間の仕事をしない」(つまりメキシコ人よりもっと働いている)
「チニートがマラカスを振るのは広東省に帰るときだから、もう心配しなくていいぞ。じゃぁなチニート」

みたいな。

でも、キャッチになっている

「チニート、チニート。トカ・ラ・マラーカ」

の「トカ・ラ・マラーカ」は「マラカスを振りなよ」という意味。

ロックやジャズが「腰振ろうぜ=気持ちのいいことしようぜ」のセックスの隠語から来ているように、「マラカス」も色々な意味を持っている。

「昨晩、(俺の)マラカスを振ったんだよ」みたいな意味だったり、胆力や落ち着きのある人を「マラカスをぶら下げてる」と言ったり、転じて「マラカスを振りなよ」=「余り深く考えずにノリよくジョインしなよ」という意味が一般的な解釈だと思う。

そういう意味では、ある種のラバンバやランバダのように「そんなことより踊ろうぜ」的な意味合いに近く、「Toca la maraca」と歌ってる。

よくよく聞く(歌詞を読む)と、軽く小馬鹿にしながらも「そんなに働かなくても大丈夫、俺たちと同じようにマラカス振ろうぜ」とエールを送っているように聞こえるんだけど、アメリカのメキシコ人訛りを強く入れて歌っていることから、実はぐるっと回って自分たち(メキシコ人)の適当さ加減を歌っているという、ダブルミーニングで実は社会派な曲。

と、俺は思う。w

歌詞:
https://genius.com/Ry-cooder-chinito-chinito-lyrics


by miura1go | 2019-03-12 14:37


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